MOVIX京都 あまろっく(映画) 20240427

朝からカブに乗ってMOVIX京都へ行く。この映画館の受付の人たちはいつも気持ちよく対応してくれるのでとても嬉しい。

「人生で起こることは何でも楽しまな!」尼崎ハートフルコメディ作品

江口のり子(近松優子)、中条あやみ(継母・近松早希)、笑福亭鶴瓶(父・近松竜太郎)、松尾諭(父・若い頃)、中村ゆり(母・近松愛子)、駿河太郎(同級生・太一)、佐川満男(職人・鉄蔵)、中林大樹(見合い相手・広樹)、原案・企画・監督:中村和宏、脚本:西井史子、ネタバレあります。

京大出身の優子は会社でも成績優秀で表彰されるが、協調性がなくて理不尽にもリストラされる。脳天気な父はリストラおめでとうの横断幕を玄関に張り優子を賑やかに迎える。

何をする気にもなれず怠惰な日々を過ごす。

川でボートの練習をする学生たちを見つめる優子。

同級生 太一の屋台で、リストラされたこと、父が賑やかに迎えたことをグチる。しかし太一は、一緒にしょんぼりされたら余計みじめやないかと言い、お前は昔から邪魔者やったからと深い思いやりで言い放つ。

そんな頃、19年前に妻を亡くした父の再婚相手がやって来る。その相手は二十歳だった…。

優子は家族団欒を押しつける真逆の性格の早希と衝突を繰り返す。団欒の字も書けんくせにと優子は心の中でツッコム。

あいだに挟まれた父は、こんな顔

早希は暴力的な父、家に男を連れ込む母のもとで育ち、家族団欒の家庭に憧れた。そんな時、いつも勤務先の市役所にやって来る明るく人気者の町工場の社長 竜太郎に想いを寄せるようになる。早希が育った家庭環境を初めて知る優子。

しかし悲劇はすぐに訪れる。父は健康管理せねばと始めたジョギング中、雷にうたれ亡くなる。

父はかつて阪神大震災で近隣の救助に奔走したが助けられなかった多くの命を思い深く落ち込んだ。そしてこれを機に、残された人間が「人生に起こることは何でも楽しまな!」の日々を過ごすこととした。優子は脳天気に見えた父の大きさを知る。

一方で早希は母として優子に幸せになってもらいたいと、同じ京大出身のエリート社員 広樹とのお見合いをすすめるも優子は写真を見ずに破り捨てる。

広樹も仕事一筋で見合いは無理矢理で乗り気ではない。しかし見合い写真を凝視する。学生時代に想いを寄せたボート部の花形 優子だった。

広樹は、普段は気丈だがレースに勝ったのに影で泣いていた優子に魅かれた。優子は母を亡くした直後だったからと語る。数回会った頃、広樹は海外赴任に一緒に来てほしいとプロポーズする。

早希の妊娠を知った優子は、早希と産まれてくる子供の側に居てやろうとプロポーズを断る。もはや2人は家族となっていた。

そして一年後…。優子は早希の子を背負い父のように賑やかに社長として工場を切り盛りしている。職人たちは親父さんにそっくりだと微笑む。(今月亡くなった佐川満男さん)早希は営業、広樹は新人の工員として働いていた。ラストはオープニングシーンの優子と早希、2人の花嫁がウェディングドレスで神父に歩み寄る所で幕を閉じる。

「食うて寝たらたいがいの事は何とかなるわ」父は、尼崎を水害から守る尼崎閘門(こうもん)、通称あまろっくの如く、何もなければ動かないがどっしりと家を守る人。映画は人情が熱く面白く描かれ、普段の会話でのツッコミ、小ネタがいい。特に優子の変化を演じきった江口のり子さんの素晴らしいお芝居に引き寄せられた。

「人生で起こることは何でも楽しまな!」(完)